注射(生物学的製剤)が効かない方へ

思い切ってリウマチの注射(生物学的製剤)を始めたけど、まだ痛みや腫れが残っている方はいらっしゃらないでしょうか?

「注射で確かに良くはなったけど、まだ痛みが残っています」 「何種類か生物学的製剤を試したけど、効き目はイマイチです」 「注射でアレルギー反応がでて中止になりました」

そんな皆さんの疑問にお答えし、少しでも皆さんの安心に繋がれば幸いです。

注射(生物学的製剤)が効かない?

生物学的製剤は、リウマチの炎症を引き起こしている原因物質や原因細胞をピンポイントで狙って治療をするお薬になります。 どこをピンポイントで狙うかによって、大きく3種類(TNF、IL6、T細胞)のタイプに分かれます。どの生物学的製剤もメトトレキサートなどの飲み薬よりも更にリウマチの良く効き、また骨の破壊もしっかり抑えてくれます。 とはいっても全てのリウマチの方に効果があるわけではありません。少数ですが、注射を開始しても効き目が出ない方も中にはいらっしゃいます。

ただここで大切なのは、生物学的製剤の効き目が無かったと思われている方の中には、効果がまだ出て来なかっただけの方も入らっしゃる事です。

実は生物学的製剤といっても効果が出るまでには3か月以上かかる場合があります。 確かに、1回注射をして数日後から痛みや腫れが良くなり生物学的製剤がすぐ効く方も入らっしゃいます。ただ個人差がありますので、2-3か月してジワジワとリウマチが良くなってくる方もいらっしゃいます。中には生物学的製剤で治療開始してから6カ月かけて効果が出てくる方もいらっしゃいます。

特に、アクテムラ・ケブザラなどのIL6という原因物質を治療タイプ、オレンシアというT細胞を治療するタイプは、効果が比較的ゆっくり出てくる事があり、3か月ないし6か月を諦めずに待つ事が大切です。

注射(生物学的製剤)の効果が出るまで待ちましょう

生物学的製剤はメトトレキサートなどの飲み薬に比べてお薬代が高いため、早く効果が出て欲しいお気持ち良く分かります。 ただ注意するのは、注射を始めて1-2か月で効果がないからとどんどん他の注射に変えていってしまう事は良くないという事です。

前項でお伝えしたとおり、生物学的製剤が3か月や6カ月かけて効果が出てくる可能性が十分あるからです。 1-2か月でどんどん注射を変更し、あれも効かない、これも効かないとしてしまうと、残っている生物学的製剤の種類がどんどん減ってしまいます。

その結果、将来的に選べる生物学的製剤の種類が少なくなり、治療に困ってしまう事になります。なので、生物学的製剤の効果が出てくるまで1-2か月ではなく3か月、できれば6カ月程度待っていただければと思います。

生物学的製剤の効果を十分発揮する方法

今使われている生物学的製剤の効果が出てくるのを期待して待つことが大切な事をお伝えさせて頂きました。 それに加えて、生物学的製剤はメトトレキサートなどの飲み薬と一緒に使うとより効果を発揮します。特にヒュミラ、アダリムマブなどのTNFタイプの生物学的製剤は、メトトレキサートと一緒に使う事で十分な効果を発揮します。また生物学的製剤が効かなくなってしまう2次無効(にじむこう)という現象も、メトトレキサートと一緒に使うことで予防できます。 なので、生物学的製剤の効果がイマイチな時は、メトトレキサートなどの飲み薬をパワーアップさせる事で、生物学的製剤の効果をさらに発揮させ、また効き目を長持ちさせることが出来ます。

また、シンポニー、アクテムラなどの生物学的製剤は、効き目が不十分な時には注射の量や回数を2倍にパワーアップさせる事もできます。量や回数が多くなる事で、効き目が出てくる事が期待できます。 これらの工夫をして、今使っている生物学的製剤を大切に使っていく事が大切になります。

それでもダメなら注射の変更

色々工夫しても今使っている生物学的製剤の効果が不十分であれば、他の注射への変更を考えます。 どの注射が良く効くかは、お1人お1人によっても違うので、治療を始めてみないと分からない所があります。

ただ「前の注射が最初から効果なかったのか?」それとも「何年も効いていたのが徐々に効果が無くなってきたのか?」という事が参考になったりします。

「前の注射が最初から効果なかった」のを1次無効と言い、この場合には前とは違うタイプの注射を選ぶと効果が期待できると言われています。

「前の注射が何年も効いていたのに、徐々に効果が無くなってきた」のを2次無効と言います。この場合には前の注射と同じタイプの生物学的製剤を選ぶと効果が期待できます。

そして次に選んだ注射も、効果がでるまでしっかり待って、メトトレキサートなどの飲み薬も必要あればしっかり使って、効果が十分でるように大切に使う事が大切です。

生物学的製剤の治療をしているけど痛みや腫れがある皆さん、ぜひ僕らのようなリウマチ専門医にお任せください。紹介状などはいりませんので、お気軽にご相談くださいね。