関節の痛み
「フライパンを持つと、手首が痛いな」
「歩くと足が痛い、靴が合ってないのかな」
「腰が痛くて、年かしら?」
「指が痛くて腫れているな」
などなど、体のどこかの関節の痛みがある方は、とても多いかと思います。
そんな関節が痛い時に考える病気を紹介させて頂きます。
- 関節リウマチ
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関節の中でも、「手の指」「手首」「足の指」など手足が痛くなる病気でまず考えるのが、関節リウマチになります。
リウマチは、自分の持っている免疫細胞が関節の中で暴れてしまうのが原因の病気で、痛みに加えて「関節が腫れている事」が特徴です。
さらに気をつけなくてはいけないのは、早く診断して治療しないと、骨が壊されて手や足が「変形」して動かなくなってしまう事です。そんなリウマチの初期症状は、
そんなリウマチの初期症状は、
- 1.「手の指」「手首」「足の指」が痛い
- 2.関節がぷっくり腫れている
- 3.ぶつけたり、ケガをした覚えもないのに、痛みが2週間以上続いている
- 4.2か所以上の関節が痛い
- 5.朝起きると手がこわばって力が入らない
になります。
こんな症状がある方は、ぜひ一度リウマチの検査を受けましょう。 昔はレントゲン検査しかなかったのでリウマチを早期に診断することが難しかったのですが、「関節エコー検査」という最新の検査が登場し、リウマチになったばかりの方も早期に診断できるようになりました。 またお薬も「メトトレキサート」というよく効く飲み薬や、「生物学的製剤」という特効薬のような注射の治療もできるようになりました。 ひと昔前と違って、最新のリウマチ治療では、手足の痛みをなくして、将来の手足の変形もしっかり防ぐことができるようになったので、安心してください。
リウマチが心配な方は、最新の検査や治療が受けられるリウマチ専門クリニックにぜひご相談くださいね。
- 肩関節周囲炎(五十肩)
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肩の痛みで多いのが「肩関節周囲炎」、通称「五十肩」です。
これは肩の筋肉や骨や軟骨などが年齢とともに傷んできてしまう病気になります。
- 1.肩が激痛で動かすこともできない時期
- 2.痛みがなくなったけど肩が動かない時期
- 3.痛みもなく肩が動かせるようになる時期
と3つの時期に分かれるのが特徴的です。
整形外科さんがご専門の病気となり、安静やリハビリ、痛みが強い方はステロイド注射などで治療をされます。ただ五十肩と思っていた方の中にも、実はリウマチが原因で肩が痛くなっている方もいらっしゃるので、注意が必要です。
<リウマチを考える五十肩 3つのポイント>
- 1.両方の肩が痛い
- 2.肩だけでなく手首や指、足も痛い
- 3.血液検査で炎症の数値が高いと言われている
などがある方は、一度リウマチ専門医にご相談くださいね。
- テニス肘、ゴルフ肘
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ひじの痛みで多いのが、このテニス肘とゴルフ肘です。正式名称は「上腕骨外側上踝炎」という難しい名前なのでが、ざっくり言うと肘の腱鞘炎の一種になります。
肘の内側が痛くなるのが「ゴルフ肘」、外側が痛くなるのが「テニス肘」です。
名前の通り、テニスやゴルフなど肘や手首をよく使うスポーツをされる方に多い病気になります。ただ最近では、パソコンやスマホの使い過ぎでなる方も多いので注意が必要です。
「物をつまんで持ち上げる」「ドアノブを回す」「タオルを絞る」などの動作をした時、肘に痛みが出るのが特徴です。
整形外科さんの病気になり、安静と痛み止めや湿布で治療されます。ただテニス肘やゴルフ肘の中にもリウマチで肘が痛くなっている方もいらっしゃるので注意が必要です。
<リウマチを考えるテニス肘・ゴルフ肘 5つのポイント>
- ①動かさなくても肘が痛い
- ②肘が伸ばしきれない
- ③肘以外の手や足の関節も痛い
- ④肘を触ると熱っぽい
- ⑤肘が膨らんで腫れている
などが当てはまる方は、リウマチの可能性があります。リウマチの場合には痛み止めや湿布での治療では治らないですし、骨のダメージが進んでしまうので、リウマチ専用のお薬でしっかり治療する事が大切です。気になる方はぜひリウマチ専門クリニックにご相談ください。
- へバーデン結節
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指の第一関節が痛い時にまず考えるのが、この「へバーデン結節」になります。これは「変形性関節症」という、加齢の病気の1つになります。手や足の関節は、ゴツゴツして堅い骨と骨の間に、石鹼のようなツルツルした軟骨がある事で、スムーズに動きます。 でも石鹸も使っている内にだんだん小さくなるように、軟骨も加齢とともに小さくなってしまうので、手足を動かしにくくなったり痛みが出たりするんですね。 特に指の第一関節は軟骨が減りやすく、この部分におきる変形性関節症は特別にへバーデン結節と呼ばれています。 逆に指の第一関節はリウマチは起きない場所になるので、覚えておいてくださいね。 このヘバーデン結節は整形外科さんの病気で、治療は安静と痛み止めや湿布になります。また最近ではエクオールというサプリメントが使われたりします。
- 手根管症候群
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手首が痛い時に考えるのが、この「手根管症候群」になります。 ちょうど手のひら側の手首に「手根管」というトンネルのような袋があり、その中を指を動かす為の神経や腱が通っています。このトンネルが狭くなって、中を通っている神経が押されて、手首や指に痛みや痺れがでてくるのが「手根管症候群」になります。 親指・人指し指・中指の3本に痺れや痛みが出るのが特徴で、「ボタンをかけにくい」「机の上のコインをつまみにくい」などの症状が出てきます。 この手根管症候群の治療は、整形外科さんで鎮痛剤やビタミン剤、ステロイド注射、手術になります。
また手根管症候群はリウマチが隠れている事も多いので注意が必要です。リウマチで手首の関節が腫れてしまうと、そのすぐ近くにある手根管が押されたことで、手根管症候群になってしまうのですね。
<リウマチの手根管症候群 5つのポイント>
- ①手のひら側だけでなく、手の甲側の手首も痛い
- ②手首がぷっくり膨らんで腫れている
- ③手首を触ると熱い
- ④手首を押すと痛い
- ⑤指やひざ、足も痛い
こんな症状がある方は、リウマチが原因の手根管症候群の可能性があります。その場合には、手根管症候群の治療だけでなく、リウマチ専用のお薬での治療で症状がとても良くなります。症状が当てはまる方はリウマチ専門クリニックにご相談くださいね。
- 腰椎圧迫骨折
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腰が痛い時に考えられるのが、「腰椎圧迫骨折」です。これは、腰の背骨が骨折し潰れて痛みがでる病気です。 もともと背骨は太くて頑丈なのですが、「骨粗鬆症」という骨がスカスカになる病気があると骨折してしまう事があります。 この骨粗鬆症は加齢や女性ホルモンの低下で起きるので、腰椎圧迫骨折もご高齢の女性に多い病気になります。 腰椎圧迫骨折を起こしてしまったら、整形外科さんで痛み止めやコルセットをもらい、骨折した骨がくっつくまで安静となります。 また痛みが落ち着いたら、腰椎圧迫骨折の原因となった骨粗鬆症を治療して、再び腰椎圧迫骨折を起こさないように予防する事が大切です。 そのために、骨密度を高くする飲み薬や注射、骨の材料になるカルシウムやビタミンDで治療を行います。
実はリウマチがある方は骨粗鬆症になりやすく、腰椎圧迫骨折を起こしやすいので注意が必要です。
<リウマチからの脊椎圧迫骨折>
- ①リウマチの痛みや腫れが残っている
- ②治療で長年ステロイドを使っている
- ③運動ができていない
- ④タバコを吸っている
- ⑤骨密度が低い、腰椎圧迫骨折をした事がある
リウマチの炎症が強いと、骨にダメージがでてしまいますし、ステロイドがやめられなかったり、運動も痛くてできないなど、骨粗鬆症が起きやすくなってしまいます。なので、まずはリウマチをしっかり治療して寛解を目指す事が大切ですね。