日常生活のポイント

関節に優しい生活スタイル

体を動かさないでいると、手足の関節が硬くなったり、筋肉の量が減って、ますます体を動かすのが大変になってしまいます。ですので、リウマチの痛みや腫れがある時は安静にし、調子が良い時はお掃除やお料理などの家事を行ったり、通勤やお仕事をされたりなど、痛みの出ない範囲で今まで通りの生活をして頂く事が大切になります。「無理せず、楽をし過ぎず」と言うのが生活のポイントになります。

その上で、「リウマチに優しい生活スタイル」をご紹介させて頂きます。じつは、知らないうちに、日常生活の中で関節に負担の大きい動きをしていたり、ご自分の動作のクセが関節の負担になっていたりします。過度の負担が繰り返し関節にかかると、リウマチの痛みや腫れだけでなく、変形を起こす原因にもなってしまいますので、そうならないように一緒にポイントを確認していきましょう。

1)リウマチに優しいパソコン作業3つのポイント

パソコンを使ったデスクワークの方がどんどん増えていらっしゃいます。パソコン作業をする中で、僕自身もそうなのですが、ついつい首が前に出て背中が丸まってしまったり、足を組んだり、ほお杖をついたり、といったクセが出てしまう方もいらっしゃるかと思います。実はこういったクセが、手足や首、腰の関節に余計な負担をかけてしまいます。ポイントは3つ、

ポイント1:背筋を伸ばした良い姿勢でお仕事をしましょう ついつい下を向いて作業しがちですが、背中が丸まると首や腰に負担がかかってしまいます。ぜひ背筋を伸ばした良い姿勢で、気持ちも明るくお仕事をして頂けると幸いです。

ポイント2:目線とパソコン画面が水平になるように、パソコンと椅子の高さを調節しましょう パソコンの画面が低いと、自然と首が前に出て猫背になってしまうので、パソコンの下に本などを置いて少し高くしたりと、ちょっとした工夫されると良いかと思います

ポイント3:同じ姿勢を長く続けないように、休憩を挟みましょう 関節に優しいのはもちろん、眼の疲労を防ぐ面でも、1時間お仕事をしたら10分ほどの休憩をするようにしましょう。

2)買い物やフライパンなど、何かを持つとき3つのポイント

ついつい、マグカップやフライパンなどを片手で持ってしまい、翌日に手首や指が腫れて痛くなってしまったご経験はないでしょうか?また、重い買い物袋を持たれてから、手指のリウマチがぶり返してしまったというご相談もよく伺います。何かを持つ時も、無意識に頑張り過ぎて関節に負担をかけてしまっている事があるので、注意が必要です。

ポイント1:片手ではなく「両手」で持ちましょう コップやフライパン、お皿などを持つ時は、

両手で持つようにしましょう。ちょっとした心がけですが、両手で持つと、手首や指の関節への負担がぐっと減ります。また、周りの方にも、ちょっと丁寧な動作の印象を持たれて良いかもしれませんね。

ポイント2:軽い物は「肘(ひじ)」にかけ、重い物は「カート」や「リュック」を使いましょう 手首や指などの小さな関節よりも、肘(ひじ)や肩(かた)などの大きな関節の方が頑丈になります。ですので、荷物を持つ時は、なるべく手や指のような小さな関節ではなく、肘や肩などの大きな関節を使う事がお勧めです。 例えば、買い物をされるとき、軽い買い物であれば手で持つのではなく肘(ひじ)にかける。重い荷物の場合には、カートを使ったり、両肩にかけられるリュックサックのような入れ物がお勧めになります。

ポイント3:手首をひねる動作は避けましょう 診察室でもよく伺うのが、手首をひねるような動作をされてから、手首が腫れて痛くなってしまったという声です。昔から、雑巾やタオルを絞るといった手首をひねる動作は、関節の変形を進めてしまうとも言われていますので、なるべく避けて頂ければと思います。絞る時はタオルなどを水道の蛇口にかけて絞るなどの方法もありますが、今はウェットティッシュやペーパータオルなどもありますので、これらを活用して、雑巾やタオルを絞らなくてもいいようにされると良いのかなと思います。

③リウマチに優しいお住まいの3つのポイント

畳の香りがする和式のお住まい、僕も個人的に趣があって凄く好きなのですが、リウマチの方向けの関節に優しいお住まいと言う点で考えると、和式ではなく洋式のお住まいがお勧めになります。ポイントは3つ、

ポイント1:布団(ふとん)ではなく、ベッドで寝ましょう
布団はどうしてもベットに比べると、立つ時に膝(ひざ)や足腰の関節への負担が大きくなります。また布団の上げ下ろしも、手や指の関節に負担となります。できれば、関節への負担が少ないベッドをご利用いただくのがお勧めです。さらに、関節を押し付けないように布団はできるだけ軽いものが良く、軽くて暖かい羽毛布団などがお勧めです。また、枕は首が前かがみにならないように、少し低めのものをご検討頂けると良いかと思います。

ポイント2:畳(たたみ)よりも、イスやソファーに座りましょう

畳はイスやソファーに比べて、座ったり立ったりする際に、足腰の関節に大きな負担をかけてしまいます。また正座やあぐらも膝(ひざ)に大きな負担になってしまいますので、なるべく椅子やソファーに座るようにしましょう。また椅子やソファーは、座って足を床に着けたときに、膝(ひざ)が90度程度になる高さがお勧めです。

ポイント3:エアコンで、快適な温度調整をしましょう

体が冷えると、手足の関節の痛みやこわばりが強くなりやすくなります。ですので、寒い冬は体を冷やさないように、エアコンでしっかりお部屋を暖かくする事が大切です。また、暑い夏は、熱中症にならないように、エアコンを使う事が大切です。その時でも、冷たい風が直接に手や足にあたると、関節が冷えて痛くなってしまう事があります。特に寝ている時に、冷たい風が直接、手や足の関節に当たらないよう風向きを調整されるのがお勧めです。