関節エコー検査

3,リウマチはどんな検査をするの?

「この長引く指や手、足の痛みはリウマチかも?」と思われた皆さんがから良くいただくご質問が、
「リウマチの検査って大変なんですか?」
「リウマチかもって思ったら、どこに相談したらいいの?」
「レントゲンの検査を受けたのですが、はっきり結果がでませんでした」
などになります。
実は、ここ数年でリウマチの検査はとっても進歩しました。特に「関節エコー検査」という超音波検査が登場してから、今までのレントゲンや血液検査だけは見つける事ができなかったリウマチになりたての方を、しっかり早期に診断できるようになりました。また、患者さんにとって負担の大きかったMRI検査も、関節エコー検査が登場してくれたおかげで、ほとんど行わずにリウマチの診断ができるようになりました。

新しい「関節エコー検査」で、早期のリウマチも見つけられるようになりました

一昔前までは、リウマチの検査というと、「レントゲン」と「血液検査」、「触診(しょくしん)」しかなく、正直なかなかリウマチと診断するのが難しい状況でした。

「レントゲン」は骨を見るのが得意な検査で、リウマチの進行具合を見るのに便利です。しかし「リウマチかも?」と心配されて病院を受診されるリウマチになりたての方は、骨にまだ異常が出ていません。なので、レントゲン検査をうけられても正常となってしまう事が多く、リウマチの早期診断にはレントゲン検査は少し力不足となります。

「血液検査」は「リウマチの体質をお持ちかどうか」などを知る事ができます。しかし、リウマチの体質がある事は分かっても、実際にリウマチを発症されているのかどうかまでは分かりません。

「触診(しょくしん)」とよばれる医師が痛みのある手指を触って行う診察も、手指の浮腫みや皮下脂肪など患者さんによって個人差が大きいですので、なかなか精度の面では難しい所がありました。

そんな中、一昔前にも、MRIというレントゲンでは分からない早期のリウマチを見つける検査機器はありました。しかし、MRIは非常の高価で大型の機械で、専用の検査室をもつ大きな病院にしかなく、検査の予約が一杯でずいぶん先になってしまう事が多くありました。また、造影剤というお薬を注射したり、検査中の大きな音や、検査に時間がかかるなど、患者さんのご負担を考えると、なかなか皆さんに検査をお願いする事もできず、また痛い時に何度もできる検査ではありませんでした。

そんな状況なので、私自身も「リウマチと診断までは出来ないけど、違うともいえないな」という診断に迷う多くの患者さんにお会いし、「お力になれず本当に申し訳ないです」という気持ちを抱えながら診療をしておりました。そんな中で登場したのが、「関節エコー検査」になります。

<ここが凄いぞ!関節エコーの3つのポイント>

ポイント1 レントゲンでは分からないリウマチも早期発見

みなさんも健康診断やテレビ番組などでレントゲン写真を見られた事があるかもしれません。レントゲン写真は骨をよく見る事ができます。なので、ケガをしたときに骨が骨折していないかを見るのに、レントゲンは大活躍をします。
しかし、リウマチの場合にはいきなり骨に異常がでるわけではありません。まず関節が腫れて痛くなって、そのまま何年もほっておくと「びらん」といって骨に穴が空いたり、「変形」といって手指が曲がったりしてしまいます。ただ、このようなレントゲンでわかるような骨に異常がでているリウマチの方は、残念ながら、すでにある程度進行してしまったリウマチと言う事になります。レントゲン検査では、リウマチを早期に診断する事ができません。
そこで登場したのが、「関節エコー検査」になります。関節エコー検査は、レントゲンでは写らない関節の腫れや炎症を見つける事ができるので、リウマチを早期に発見する事ができます。実際に、リウマチになりたての方の多くは、レントゲンでは正常のままです。しかし、そんなレントゲンでは正常の方でも、関節エコー検査をすると、しっかり関節に炎症がおきていて、リウマチと診断される方が多くいらっしゃいます。
ここで大切なのは、早くにリウマチと診断できれば、早く治療を始めて痛みが無くなり、手指の変形もおきなくなるという事です。ですので、「レントゲンで骨は大丈夫って言われたけど、やっぱり手首や指が腫れて痛いんだよな」という皆さん、ぜひ一度は関節エコー検査をご検討くださいね。


関節エコー検査では、リウマチの炎症が赤く炎のように見えます。
これはレントゲンでは分かりません

レントゲンでは正常ですが、関節エコー検査でリウマチの赤い炎症をみつけリウマチを早期に診断できました

ポイント2 診察室ですぐに検査ができる

関節エコーと同じように、関節の中に炎症が起きていないかを見る事ができる検査にMRIがあります。しかし、MRIは非常に高価な大きな機械になりますので、大きな病院での後日の予約となり、その日に検査する事は難しいです。そのため、検査予約の日になる前に痛みが悪化したり、逆に痛い場所が変わってしまったりという事がよくありました。

一方、関節エコーはとてもコンパクトな機械で、クリニックの診察室に置かれています。
そして、診察中に「今日は、人差し指が腫れて痛いんです」と教えて頂ければ、「分かりました、ちょっと関節エコーで見てみましょうね」と、診察室内でそのまま検査する事が出来ます。またその関節がうつっている画面を皆さんと一緒に見ながら検査ができますので、「ここの赤い部分が、リウマチの炎症ですね」など、より皆さんとお話しをしながら、分かりやすくご説明ができます。
そして、関節エコー検査の結果で関節の中に炎症がおきていれば「リウマチの可能性が高いので、詳しく血液検査をしましょう」となったり、「リウマチが残っているので、お薬をパワーアップしましょう」と、リウマチの診断や適切な治療に繋がります。
またもし関節の中に炎症が起きていなければ、「リウマチの可能性は低そうですよ」、「リウマチの痛みではないのでお薬は増やさなくても大丈夫ですよ」と、リウマチが原因ではない事もお伝えする事ができます。そうする事で、不必要にリウマチのお薬を使ったり増やしたりする事も避けられますので、安心ですね。

ポイント3 妊婦さんもOK、体への負担が全くない検査です

みなさんは、エコー検査というと何をお考えになるでしょうか?健康診断の時に、ゼリーを塗ってお腹の中を調べる腹部エコー検査(=腹部超音波)や、妊婦検診でお腹の中にいる赤ちゃんをみる胎児エコー検査などを思いつかれた方がいらっしゃるかもしれません。
関節エコーも、これらの健康診断や妊婦検診で行われるエコー検査と全く同じです。同じエコーを、痛みのある手指や足に当てて、関節の中を見るのが関節エコー検査になります。
検査方法も全く同じで、手指や足にゼリーを塗って、エコーの機械をポンとその上にのせるだけになります。
特に痛みもありませんし、お腹を見るわけではないので健康診断と違って、食事をされてきても全然OKです。
また、レントゲン検査は放射線、MRI検査も造影剤というお薬を注射したりと、少し体に負担がかかる検査になりますが、エコー検査は妊婦さんに行われるくらいですので、まったく体への負担がありません。安心してお気軽に検査ができますよ。

②リウマチかもと思ったら、「関節エコー検査」ができるクリニックや病院に相談しましょう!


もし皆さんが「リウマチかも?」と思われたら、正直なところ「関節エコー検査」ができるクリニックや病院さんを受診されるのが、一番安心かと思われます。
ただ、関節エコー検査は新しい検査で、どのクリニックや病院でもできる検査ではありません。ですので、受診される前に、関節エコー検査ができるかをクリニックや病院のホームページ見てご確認して頂くと良いかと思います。また、実際にお電話をされて「リウマチが心配なのですが、関節エコー検査をされていますか?」とお聞きになるのも、おすすめかと思います。
リウマチは数日でおさまる風邪などとは違い、長くお付き合いする病気になりますので、ぜひ必要な時に関節エコー検査が受けられるリウマチ専門のクリニックや病院にご通院頂き、安心できる診療を受けられる事をお勧めいたします。