• トップページ
  • » 注射(生物学的製剤)の治療をするか迷われている方へ

注射(生物学的製剤)の治療をするか迷われている方へ

「リウマチが良くならないから、注射の治療を始めましょう」と提案され、どうしようか迷われている方はいらっしゃらないでしょうか。 「リウマチの痛みは無くしたいし、将来指が曲がってしまうのも困るな」「でも注射の治療はちょっと怖い感じがするな」「注射のお薬代が気になるな」など 「どうしようかな?」と迷われるお気持ちも良く分かります。 そんな皆さんの疑問にお答えし、少しでも皆さんの安心に繋がれば幸いです。

今ある痛みがリウマチかどうか確認しましょう

リウマチの治療をしているのに痛みや腫れが残っている場合、すべてがリウマチかというとそういうわけではありません。 リウマチ以外にも、加齢や更年期による手指のこわばりや痛み、足首が腫れていると思ったら浮腫み(むくみ)だったという事も良くあります。

もしリウマチ以外の痛みや腫れで、リウマチ自体は飲み薬で良くなっているとしたら、注射の治療(生物学的製剤)を始める必要が無くなります。痛み止めや湿布などで症状を和らげる治療で十分だったりします。 なのでまず、今ある痛みがリウマチかどうかを確認して頂ければと思います。 そこで一番役に立つのが、「関節エコー検査」になります。関節エコー検査をすれば、リウマチが原因の痛みや腫れであれば、関節の中が膨らんで赤い炎症が起きているのが見えます。リウマチでなければ赤い炎症は見えませんので、その場ですぐに結果が分かります。 ぜひ注射の治療(生物学的製剤)を始める前に、一度「関節エコー検査」でリウマチが残っているのか?注射の治療が必要なのか?をチェックして頂けると良いかと思います。

注射(生物学的製剤)の効果や注意点

生物学的製剤はリウマチの原因物質をピンポイントで狙って治療する注射になります。イメージとしては、カツオの一本釣りのように狙いを絞ってリウマチを治療するので、飲み薬以上に良く効くお薬になります。 またリウマチの痛みを良くするだけでなく、将来、手や指が曲がって変形したりと、リウマチが進んでしまうのもしっかり予防してくれます。

そんな良く効くお薬だと、逆に体に強すぎるのでは?といったイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は妊娠や授乳中の方も使えるなど、体への負担が飲み薬より少ないともいえるお薬になります。 またメトトレキサートなどの飲み薬と違って、肝臓や腎臓への負担がありません。気持ち悪くなったりといったお薬を飲んだあとの様なお腹の症状もありません。 確かに、体の中で暴れているリウマチの免疫細胞を大人しくさせる効果があるので、少し感染症には注意が必要ですが、これは注射(生物学的製剤)だけでなくメトトレキサートなどの飲み薬も同じになります。 リウマチへの効果は抜群で、注意点はあるけど今使っているメトトレキサートなどの飲み薬と同じなので、そんなに心配し過ぎないでくださいね。

自分で注射できるようになります

注射の治療(生物学的製剤)を始めようとしたとき「自分で注射ができるかな?」と最初は不安に思われるかもしれません。 でも安心してください。昔は注射器のような形をしていましたが、いまはペン型といって、ボールペンの様に注射する時だけ自動で針が出て、終わると針が自動で引っ込むもので、とても簡単になっています。太ももや、お腹の脂肪に押し付けるだけで自動で注射が始まり、自動で終わります。 注射の瞬間自体は確かにチクッと痛みはありますが、針自体も凄く細いので慣れて気にならなくなる方が多いです。また血管に注射する血液検査とは違うので、血もほとんど出ません。 始めての注射をする時は、看護師さんと一緒に注射の練習を行いますので、安心してくださいね。

気になる注射のお薬代について

もう一つ気になるのが、お薬代かと思います。確かに3割負担の方で月3,000~4,000円のメトトレキサートなどの飲み薬に比べて、注射はリウマチに良く効く分お薬代が高くなっています。月3~4万円かかる注射が多く、僕らリウマチ専門医も良いお薬なので何とか皆さんにお使い頂きたいとおもいつつ、お薬代だけは保険で決まっていて何ともできず、歯がゆい想いをしておりました。 しかし、ここ数年で注射(生物学的製剤)もバイオシミラーと呼ばれる後発品が登場し、以前の6割程度にお薬代の負担がへりました。

・「エタネルセプトBS50㎎」1本5500円×月4本(3割負担) ・「アダリムマブBS40㎎」1本1万円×月2本(3割負担)

またアクテムラという日本製の注射も、以前より大分値段が下がりました。 ・「アクテムラ162㎎」1本1万円×月2本(3割負担)

それでも飲み薬よりはお薬代はかかってしまうのですが、お薬代以上のリウマチへの効果が期待できると思います。 さらに、リウマチがすっきりよくなれば、将来的に注射の本数を減らす事もできたりするので、ぜひ前向きに注射の治療もご検討頂けると幸いです。 生物学的製剤の治療を考えている皆さん、ぜひ僕らのようなリウマチ専門医にお任せください。紹介状などはいりませんので、お気軽にご相談くださいね。