指の浮腫み
「朝起きると指が浮腫んでいる」
「指がにぎれない」
「グーパーができない」
「指輪が入らなくなった」
など、指の浮腫みでお困りの方も多いかと思います。
そんな指が浮腫んでいる時に考えられる病気を紹介させて頂きます。
- 関節リウマチ
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「指の浮腫み」に加えて、「指の痛み」もある時に、まず考えるのが「関節リウマチ」です。 リウマチというと、温泉や入浴剤の効能効果で書かれているのを見た事があるかもしれません。
リウマチは、自分の体の中にいる免疫細胞が手や指の関節の中で暴れて、痛みは腫れを起こしてくる免疫の病気の一つです。イメージとしては、普段は「アンパンマン」のように皆を守ってくれていた免疫細胞が、急に「ばいきんまん」に変身して暴れている感じでしょうか。
そんな、ばいきんまんになってしまった免疫細胞が、手の指、手首、足の指など、手足の小さな関節で暴れるので、手足のあちこち痛くなって腫れるのがリウマチの症状の特徴です。
また、そのまま気づかず治療しないでおくと、骨が壊されて手や指が「変形」して使えなくなってしまいます。なので、早くリウマチを診断してしっかり治療をすることがとっても大切です。
もしかしたら、リウマチはご高齢の方の病気とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は30-50歳の仕事や育児で忙しい女性に多い病気です。 「最近指が浮腫んで痛いけど家事や仕事のし過ぎかな?まさかまだ30代だし病気じゃないだろう」と思っていたら、リウマチだったという事が多いので注意してくださいね。
そんな指のリウマチを見つける5つの初期症状は、
- 1.朝起きると指が浮腫んで握れない
- 2.指の付け根が痛い
- 3.指を押すとプヨプヨ腫れている
- 4.指を押すと痛みがある
- 5.指以外にも、手首や足も痛い
になります。
こんな症状のある方は、リウマチの可能性があります。特に、「寝起きの指の浮腫み」は「朝のこわばり」といってリウマチの超初期症状の事があります。その場合には超早期のリウマチも見つけられる「関節エコー検査」ができるリウマチ専門クリニックを受診してくださいね。
- 更年期関節症
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指の浮腫みは、更年期症状で見られることもあります。多くの女性の方は50歳前後になると女性ホルモンが急に少なくなり、閉経をむかえたり、更年期障害の症状が出てきます。
<更年期症状>
- 肩こり
- 疲れやすい
- のぼせ、汗(ホットフラッシュ)
- 動機
- 腰痛 など
その更年期症状の一つに関節の症状があり、指の浮腫み、こわばり、痛みが出る事があり「更年期関節症」と呼びます。
また、更年期と同じように女性ホルモンが急激に下がるタイミングである「出産直後」「乳がんのホルモン治療中」「卵巣がんの手術後」なども、更年期関節症と同じような症状がでます。
「更年期関節症」は半年ほど症状が強く出ますが、だんだん体が女性ホルモンの変化に慣れていくためか自然に症状が良くなっていく方が多いです。症状が強い場合には、婦人科さんなどで女性ホルモン補充の治療をすることがあります。また最近では、エクオールという大豆由来のサプリメントで自分で治療する事もできます。
ただこの閉経を向かえる50歳前後は、リウマチも出やすいタイミングなので注意が必要です。更年期関節症だと思っていたら実はリウマチだったり、更年期関節症とリウマチが一緒に出ていたりという事もよくあります。
<リウマチと更年期関節症を見分けるポイント>
- 1.指を触るとプヨプヨ膨らんでいる
- 2.押すと痛みが出る
- 3.痛い関節に赤みがあり温かい
- 4.指が変形してきた
- 5.血液検査で炎症の数値が高い
これらの症状のある方は、更年期関節症だけでなくリウマチの可能性があります。ぜひ一度リウマチ専門のクリニックにご相談くださいね。
- 甲状腺機能低下症(=橋本病)
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指の浮腫みは、「甲状腺ホルモン」というホルモンが減る病気で出てくることがあります。 甲状腺ホルモンは、首の下にある甲状腺というところで作られているホルモンで、一言でいうと体の新陳代謝をよくする元気の素になるホルモンのイメージです。 しかしその甲状腺に免疫細胞が悪さをして、甲状腺ホルモンを作るのを邪魔してしまうのが、「甲状腺機能低下症(=橋本病)」になります。元気の素である甲状腺ホルモンが減ってしまうので、体の新陳代謝が悪くなり、手指や足に老廃物や水が溜まって浮腫んでしまうんですね。
指の浮腫み以外にも、甲状腺機能低下症では
- やる気が出ない
- 寒がり
- 体重増加
- 記憶力低下
- 疲労感
など元気がなくなる様な症状が出てきます。
この甲状腺機能低下症は内分泌内科さんが専門となり、血液検査で甲状腺のホルモンの数値が下がっていないかを調べたり、超音波で甲状腺が腫れていないかなどを調べます。治療はチラーヂンという甲状腺ホルモンを補充する飲み薬などになります。
ただ、この甲状腺機能低下症ですが、同じ免疫細胞が暴れてしまうのが原因である病気であるためか、リウマチと合併することが多いので注意が必要です。リウマチの方の30%以上が橋本病を合併していると言われています。
<リウマチと甲状腺機能低下症を見分けるポイント>
- 手全体ではなく、指の付け根や第2関節がピンポイントで浮腫んでいる
- 指の関節を押すと痛い
- 指の関節が熱を持っている
- 炎症の数値が高いと言われている
- 指が曲がって動かなくなってきた
といった場合には、甲状腺機能低下症だけでなくリウマチが隠れている可能性があるので、ぜひリウマチ専門のクリニックにご相談くださいね。
- 蜂窩織炎
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これは、指に細菌が入って感染し炎症をおこしてしまう感染症の病気になります。 指が浮腫んで赤く熱を持って、痛みが出てきます。また、細菌が指以外の全身にも広がってしまうと、寒気や発熱が出てくることもあります。
指のひっかき傷や火傷、水虫などがこの蜂窩織炎の原因になるので、日頃からよく手や指を洗うようにしましょう。
治療は皮膚科さんがご専門となり、抗生剤で細菌をやっつけます。
この蜂窩織炎もリウマチの方に多い傾向があり注意が必要です。 リウマチの治療で使われる「ステロイド」を長期にわたって多い量使われている方は、免疫力が落ちているので蜂窩織炎にもなりやすくなります。 また、リウマチが進行し指が「変形」してしまった人では、指が洗いにくかったり傷ができやすかったりして、蜂窩織炎になりやすくなります。 ですので、リウマチの変形を起こさないよう早期にリウマチを診断する事、そしてステロイド以外の最新のリウマチのお薬でしっかり治療して早く寛解となり、なるべくステロイドを減らし無くしていく事が大切になります。