1,リウマチってどんな病気?
2,リウマチはどんな症状が多いの?
3,リウマチはどんな検査をするの?
4,リウマチはどんな治療をするの?
5,自分でできる事は(食事、運動など)?
6,将来はどうなるの?
7,急に痛くなったらどうしたらいいの?
1,リウマチってどんな病気?
リウマチって聞いたことありますか?
みなさんは、リウマチという言葉を耳にされた事がありますでしょうか?
「よく温泉にいくと、リウマチに効くって書いてあるよね」
「うちのお婆ちゃんがリウマチなんです。お年寄りの病気ですよね。」
などなど。
正直、「聞いた事ないな、どんな病気なの?」という方もいらっしゃるかと思います。
一言でいうと、「リウマチとは、手や指が痛くなって、ちゃんと治療しないと曲がって使えなくいってしまう病気」になります。
そして、ぜひ覚えておいて頂きたいのが、「リウマチは、早く診断してしっかり治療を続ければ、今まで通りの生活ができる病気なので安心してくださいね」という事です。
リウマチになるのは、自分の免疫が原因?
そんなリウマチが起きる原因は、「本来であれば、自分の体をウイルスから守ってくれる免疫細胞が、間違って自分の手や指で暴れまわって、悪さをしてしまう事」にあります。
本来、免疫の細胞は非常にありがたいもので、自分の体に侵入してきた悪いウイルスや細菌を攻撃して、やっつけてくれます。いわゆる「免疫力」と言われるもので、これらの免疫の細胞がいてくれるお陰で、風邪やインフルエンザにかかってしまっても、皆さん数日で治ることができます。また、常に体の中をパトロールしてくれていて、悪いウイルスや細胞が侵入していないか警備をしてくれています。とても働き者の警備員さんのようですね。
しかし、この頼もしい警備員さんのような免疫細胞が、何を思ってか私たちの体を攻撃し始めてしまう事があります。特にリウマチの場合には、手や指、足などの小さな関節を免疫細胞が攻撃をし、「こわばり」や「痛み」や「腫れ」といった症状を引き起こします。さらには、きちんと治療しないでほおっておくと、骨や軟骨まで壊してしまい、手指や足の関節が曲がってしまうのです。関節が曲がってしまうと、痛みだけでなく、手指や足を曲げ伸ばしする事が出来なくなってしまいます。そうすると、買い物袋や鞄など重い物を持てなくなったり、髪を洗ったり歯ブラシを持てなくなったりと、お仕事や家事、普段の生活にも影響がでてしまい大変です。
なんとなく、リウマチのイメージが伝わりましたでしょうか?
リウマチっていうのは「頼れる警備員さんであった免疫細胞が、何を思ってか自分の手指や足を攻撃して、痛みや変形を引き起こしてしまう」。そんなイメージを持っていただけると良いのかなと思います。
リウマチって実は身近な病気なんですよ
「リウマチの事は分かったけど、お爺ちゃんやお婆ちゃんの病気でしょ。私はまだそこまで高齢では無いから大丈夫」と思っている方はいらっしゃいませんか?
実は、リウマチになる方が一番多いのは「40歳代の方」になります。次に「50歳代」、「30歳代」、「20歳代」の順になります。なので、けっしてご高齢の方だけの病気ではありません。
また、リウマチは女性の方に多い病気になります。男性と比べると、なんと4倍も女性の方が多くリウマチ患者さんがいらっしゃいます。
まとめると、一番リウマチになりやすい方は、「30~50歳代」の「女性」という事になります。
この一番リウマチになる人が多い、30歳代~50歳代の女性の方は、普段からお仕事や育児、家事、介護など大変お忙しく活躍されている方が多い年代でもあります。そんな皆さんだからこそ、リウマチの為に生活に不自由が生まれない様、なるべく早くリウマチの診断をして、早くに治療を始められる事が何よりも大切になります。
また、日本全体では70~100万人のリウマチ患者さんがいらっしゃると言われています。分かりやすくイメージすると、100~200人集まると、その中にお1人リウマチ患者さんがいらっしゃる確率になります。
風邪やインフルエンザのように誰もがなる病気ではありませんが、決して稀な病気というわけではありませんよね。特に30~50歳代の女性の方は、手や指、足の痛みが続くようでしたら、リウマチという病気の可能性を考えて頂き、僕らのようなリウマチ専門クリニックにご相談頂けると良いかと思います。
2,リウマチはどんな症状が多いの?
①痛みの全てがリウマチと言うわけではありません
「腰が痛いなぁ、これもリウマチなのかな?」
「足がビリビリ痺れるんだよね、リウマチのせいかしら?」
など、この痛みはリウマチかも?というご相談をよく頂きます。幸いこの2つのご相談は、リウマチではありません。
確かに、「リウマチ=痛い」というイメージがあり、またこれは間違っておりません。ただ、リウマチも体のどこにでも痛みを起こすわけではなく、リウマチが起きやすい場所とそうではない場所があります。
また痛みの様子も、リウマチっぽい痛みと、そうではないものがありますので、ご紹介させて頂きますね。
②リウマチが出やすい関節ベスト3!
リウマチが起きやすい場所のベスト3、それは「指」と「手首」と「足」になります。
この3か所のどこかに、9割以上のリウマチの方で痛みが起きております。
~リウマチの痛みが出やすい関節ベスト3!~
2位:手首
3位:足の指、足の裏
(4位以下)
4位:膝(ひざ)
5位:肩
6位:足首
7位:肘(ひじ)
手の指の真ん中と、つけ根に注意しましょう
もう少し詳しくご説明すると、「手の指」の中でも、一番指先の関節(第1関節)はリウマチが起きる事はまずありません。ここは、加齢によって軟骨が減った痛みである場合がほとんどです。そうではなくて、リウマチの場合には、手指の真ん中の関節(第2関節)と、指の付け根(第3関節)が痛くなる事はほとんどです。なんと9割のリウマチの方が、この指の真ん中や、指のつけ根に痛みや腫れがでてきます。指が痛いと思ったら、「指のどこが痛いのかな?指先かな?つけ根かな?」と痛い場所を確認されると良いかと思います。
手首の痛みは、リウマチ?腱鞘炎?
「手首」もリウマチの痛みがとても起きやすい場所になります。最近では、スマートフォンやパソコンを使いすぎて、腱鞘炎を起こされて手首を痛めてしまう方も多くいらっしゃいます。使い過ぎの腱鞘炎との違いは、リウマチの場合には動かさず安静にしていても痛い、痛みに加えて手首が膨らんで腫れているというのがポイントになります。痛くない反対側の手首と比べて、腫れていないかをチェックするのも良いですね。
見逃しやすい足のリウマチ
「足の指」、「足の裏」、「足首」もリウマチが起きやすい場所になります。この足の痛みで気を付けなくてはいけないのは、「足の痛みは、自分でも気が付きにくい」という点です。いつも目に入る手や指と違って、足はふだん靴下や靴を履いておりますので、なかなか見る機会が無いかと思います。また痛みの感覚も、手や指に比べて少し鈍感なようなので、痛みを感じにくかったりもします。そのため、少し痛くても「歩きすぎたかな?」「靴が合わないのかな?」とそのままにされてしまい、足の指が曲がって変形を起こしてしまう事があります。
実際、「指や手首が痛いんです」と来院された患者さんの中にも、足の診察をさせて頂いた時に初めて「あっ、押されると足も痛いですね」と、そこで初めて足の痛みに気づかれる方もいらっしゃいます。
お風呂に入った時に自分で足が腫れていないか見たり、押して痛くないかなどを確認されると良いかと思います。
「頭が痛い」「腰が痛い」「全身があちこち痛い」はリウマチの可能性は低いです
その一方で、「頭」「腰」はリウマチが起きにくい場所になりますので、「頭痛」や「腰痛」はリウマチの可能性が低くご安心頂ければと思います。また、皮膚や筋肉など関節以外の場所も含め「頭のてっぺんから足先まで、全身あちこちが痛い」などもリウマチの可能性は低いので、リウマチに関してはご安心くださいね。
③リウマチっぽい痛みって?
「指」「手首」「足」はリウマチの痛みが出やすい関節ですよ、とご紹介させて頂きました。
「あーやっぱり、指の付け根が痛いから、リウマチなのかな?」
「足の指、言われてみると腫れてるし押すと痛いな。」
そんなリウマチが出やすい関節に痛みがある皆さんに、さらに「リウマチっぽい痛みを見分けるポイント」をご紹介させて頂きますね。
~リウマチっぽい痛みを見つける5つのポイント~
- 1)痛いだけでなく、ほんのり赤く腫れている
- 2)1か所ではなく、2か所以上の関節が痛い
- 3)徐々に痛い関節が増えている
- 4)痛みが2週間以上続いている
- 5)ズキズキ、ジンジン、ズーンと、関節の奥が痛い
僕らリウマチ医が、「これはリウマチっぽいな」と考える一番のポイントは、関節が痛いだけでなくて「腫れている」という点です。痛みだけですと、冷えや使い過ぎ、加齢でも起きる事もあります。僕自身も、時々痛みを感じる日もあります。しかし、痛みだけではなく関節が腫れているとなると、なんらかの原因があって関節の中で炎症が起きている可能性があり、リウマチっぽさがぐっと高まります。腫れているかどうかを知りたい方は、見た目や、軽く押してみて膨らんでいるかどうかをチェックしてみてください。さらに、軽く押した時に痛みが強くなるようでしたら、腫れているサインになります。
次に、痛い関節の数もリウマチっぽさを考えるポイントになります。痛い関節が1か所だけなら、気が付かないうちに治ってしまうような、特に問題ない痛みの事も多いです。僕自身も時々あります。 しかし、「あれ?右手首だけじゃなく、左指も痛くなってきたぞ」といった感じで、2か所3か所、さらに右も左も、手も足も、と2か所以上の関節が痛くて、さらにその痛い関節が増えてきているとなると、何らかの病気が体の中で起きている可能性があり、「リウマチが怪しいぞ」という事になります。
また、痛みがどれくれいの期間続いているのか?というのも大切なポイントになります。とくに問題のない痛みなどは、安静にしていれば数日で痛みが自然に良くなる事が多いです。しかし、2週間たってもずっと痛みが続いているような場合には、何らかの病気があって関節の中で炎症を起こしている可能性があり、一度リウマチの検査がお勧めになります。
ところで、リウマチでご通院中の皆様に「どんなの痛みですか?」とお伺いすると、「皮膚の表面ではなく、関節の奥の方が重く痛い感じです」と仰る方が多いです。 リウマチの痛みは関節の中で炎症が起きている事による痛みになります。ちょうど、どこかにぶつけて腫れあがった「たんこぶ」の痛みに近いものになります。たんこぶのように、リウマチの痛みは、表面ではなく奥の方からジワジワと痛い。じっと安静にしていても痛いし、押すともっと痛い。ほんのり赤く、熱をもって、膨らんでいる。さわると柔らかくブニブニ膨らんでいる。痛みをことばで表現すると、「ズキズキ」、「ジンジン」、「ズーン」という感覚の痛みになります。どうでしょう、少しイメージが付きましたでしょうか?
一方で、「たんこぶっぽくない痛みは、リウマチっぽくもないな」いう事になります。
例えば、
- 皮膚の表面が「ピリピリ」「チクチク」「ビリビリ」痛い→これは神経の痛みの可能性
- 動かさなければ痛くない、押すと楽になる→これは筋肉のこわばりなど整形外科の可能性
- 膨らんではいるが、硬い。押してもそんなに痛くない→これは加齢による痛みの可能性
と言った感じです。
ここまでお読み頂いて、「あちゃー、このリウマチっぽい痛みに、私は全部当てはまるわ」という方もいらっしゃるかもしれません。ただ、ご安心ください。これらはリウマチの初期の症状になりますので、早めに診断をして治療を始めれば、手指の変形なども起こさず痛みも良くなります。そんな皆様に、僕らのようなリウマチ専門クリニックがお役に立てるかと思いますので、お気軽にご相談くださいね。